経営者向けコラム

資金繰り改善

【更新】2018.04.16 【投稿】2018.04.12

リスケして良くなった会社はない

自己破産させない屋たちばなはじめ

リスケして良くなった会社はない

 

 

4月5日 東京神田小川町の事務所にて

たちばなです。
 
北陸の某所で、葬祭関連の事業を営んでいる事業主からのご相談。
   
  
当方の事務所をお訪ね下さった。40代男性のXさんとその妹さん。
兄が社長をしつつ、妹は事務方として従業員を引っ張る・・・・そんな感じの事業体。
総勢約15名。年商は約二億円。
 
借入総額は約1.6億円。
通常だと毎月200万円程の元利返済になるが、現在リスケジュールして4年目。
現在は一部元金と利息の支払いで月額37万円の返済なんだとか。

 

現在は、「なんとか資金が廻っている」とXさんは言うんだけれど・・・・・
もう既にこれが間違っている。
 
通常弁済が出来ておらず、リスケジュールしている時点で資金は廻っていない。
Xさん兄妹は、事前にワタシの情報をWEBのみで確認しており、絶対的に知識が足りない。
「一から教えなきゃいかんな・・・」とワタシの脳みそはリセットされた。
 
   
何度も何度も申し上げるが・・・・・。
この仕事をして、もうすぐ丸7年。じきに8年目を迎える。
ご相談件数は、もうすぐ3000件になる。
3000件も面談しているけどね・・・・・リスケジュールして、
その後に通常弁済に戻して利益を出して存続している事業体に、
ワタシは会った事が無い。

一度でいいから会ってみたい。
そういう事業体に。
 

リスケジュールして良くなった事業体なんか無いんだよ。
だからリスケジュールしちゃダメなんだよ。
リスケジュールしたら借金終わらないんだよ。
だからリスケジュールしちゃダメなんだよ。
リスケジュールは契約書の未記載事項なんだよ。契約違反なんだよ。
だからリスケジュールしちゃダメなんだよ。

 

 

その「意地」は周囲のためか、自分のためか?

 
Xさんの会社の近隣に、大手のライバルが進出してくることが決まったらしい。
今後の対策について、アドバイスを求められた。
 
はじめ:
「ワタシは資金繰りを“支援”するのが仕事です。借金の返済を停止して、
“儲けやすい環境” は作って差し上げられますが、儲けるのはXさんです。

ワタシは葬祭業をやった事がありませんし、ノウハウありません。

営業支援はご自身でやる以外に無いでしょう。ワタシが出来るのは、
月額37万円の返済を停止し、5年程度で1,6億円の負債を帳面上から消す事です。
もし仮に、ワタシがXさんの会社に役員として入り込んで、儲ける環境が作れるなら、
ワタシはXさんを追い出して、ワタシが儲けますよ(笑)

仮に、37万円の返済を停止したとしたら・・・・
ライバル企業の進出後も事業を廻す目算は立ちますか?」
 
Xさん:
「・・・・・・」
苦悶に満ちた表情で、「それでは廻らない」という表現なんだろう、と理解した。
 
はじめ:
「現状、Xさんはほとんど給料が取れていない状況ですね。
リスケジュールしているから、
今後の銀行からの支援は受けられる環境にない。
今後の売上減少は避けられない状態で、
社長が給料取りながら自己資金で回す事は乏しいですよ。

残酷な言い方かも知れませんが、今以上に傷口を広げないために、
撤退も視野に入れられた方が良いと思います。

 

ただ、それでも負債は残ってしまいますので、破産をさせずに、
Xさんの負債を消すための支援はこちらで出来ますが。

進む勇気も重要ですが、引き下がる勇気も同時に重要です。
無論最終判断は、Xさんですが・・・・・ワタシは撤退をお勧めします。

大手のマネしたって、絶対に勝てません。
大手で出来ない独自の何かがあれば、その限りではありませんが。
大手と“がっぷり四つ”で組んではいけないんです。

“地域密着”とかいう言葉で逃げる人は多いですが、市場なんて、
より安い方か、より便利な方を選びます。
よほどエッジの効いた何かを持っていないと、地域の密着なんて脆くも崩れ去ります。」

 
妹さん:
「資金調達の手段として、親類に資産家いるので、そこからいくらかの調達は出来ると思います。」
 
はじめ:
「返す見込みは立ちますか?」
 
妹さん:
「・・・・・」
 
はじめ:
「返す見込みが立たないのに、資産家だからとカネを借りて、返さないんでしょう? 
あなたが貸す側だった時に、あなたのような人にカネを貸そうと思いますか?」
 
妹さん:
「・・・・・思わないです・・・。でも意地なんです。大手に負けたくないんです。」
 
はじめ:
「意地を通したい気持ちは理解できます。でも、あなたの意地を通すために、
周りからカネ借りて返す目途が立たないって・・・・相当なエゴですよね?」
 
妹さん:
「・・・・・・」
 
はじめ:
「まして、あなたは1,6億円の負債の保証人にもなっていない。
会社の役員にもなっていない従業員。無責任な人間が “意地” なんて
のたまう事に違和感や身勝手は感じませんか?」
 
妹さん:
「・・・・・」
 
はじめ:
「どうしても意地を通したいのなら、自分が副社長かなんかになって、
自分のファイナンスで自分の名義で銀行から借り入れを
されたらどうですか?その勇気はありますか?」

妹さん:
「・・・・・」
 
はじめ:
「ずっと、下向いてばかりじゃないですか。なんか答えてくださいよ。勇気はありますか?」
 
妹さん:
「本意ではありません。」
 
はじめ:
「親戚からの借りたカネだったら、ちょっとくらい返済しなくてもいいや。
銀行からだと、返済しないと怖いから借りたくない。そういう発想が、
あなたの言動に見え隠れしていますよ。反論できますか?失礼ながら申し上げますが、
あなたの意地なんて、その程度の安っぽいものなんですよ。
従業員の事も顧客の事も取引先の事も頭に無いのですから。」
 
Xさん:
「たちばなさん、あの・・・妹の事はもう結構です。あまり詰問しないでください(笑)」
 
はじめ:
「妹さんは少々身勝手である、という事に気付いてもらいたくて、
あえて詰問調にしました。悪く思わないでくださいね。」
 
妹さん:
「いえ・・・自分の不勉強を知りました。身勝手な意地だったと思います。」
 
Xさんは、この後120分ほどワタシと協議を重ね、ワタシからのエッセンスを受け入れた。
「撤退も含めて、今後社内協議をして、結論が出たらたちばなさんにまた電話します」と。

 

 

 

一時の負けは生涯の負けではない

 

「散る桜 残る桜も 散る桜」

勝ったの負けたの言ったって・・・・負けたヤツが後に勝つかもしれない。
買ったヤツが後に負けるかもしれない。
いっときの勝った負けただのを結論付けるのはあまり意味が無い。
いっとき負けたと思ったって・・・・のちに大きな勝利をつかむ時間はまだある。
決断が早ければ早いほど、その時間は長く確保できるんだ。
Xさん兄妹には・・・・早い決断を望んでいる。
 

ワタシも、8年前に小売業での事業に失敗し、一度は負けたんだ。
でも、負けた8年後・・・・おかげさんで新しい商売は、ソコソコ順調です。
資金的な困窮からは脱した。
それは・・・ワタシが商業上の「負け」を認めたのが早かったからなんだよ。
早い段階で白旗上げたからこそ、後々の再生が早かったんだ。
 
 
 
 
 
地元でのとある寿司屋を思い出した。
もうかれこれ20年くらい通っていた回転寿司屋。
回転すしとは言え、職人は常に10人ほど。
「なにかご注文がありましたらどうぞ!」なんて言いながら、にこやかに対応。
数年通っているウチに顔見知りになり、与太話をしながら食事が出来る店だった。
ワタシの娘たちの成長を見ながら、「おっきくなったねぇ~」なんて言ってくれる職人が
たくさんいる回転寿司屋だったんだ。
 
少し前に、「店を改装する、ってオーナーが言い始めたんです。
3か月くらい、お休みします。」と。
「綺麗になるなら、それもいいんじゃない!?」
なんてワタシも軽く考えていたんだが・・・・・数か月後に出来た店は・・・・
「超近代店」だった。

 
注文はタッチパネル。
職人は、厨房の奥に追いやられ、顔を見る事も出来ない。
「わぁ!キレイ!」と喜んだものの・・・・その数分後に、子供たちの表情は曇った。
「おじさん達とお話しできないね・・・」と。
ワタシ達家族は・・・・その店に行かなくなった。
大手の寿司チェーンと、趣が変わらなくなってしまったからだ。

 
大手のチェーンとがっぷり四つで組んでしまったら・・・・大手には勝てないよ。
大手の出来ない事を模索しなければいけないんだ。
Xさんの事業体も、大手との “棲み分け” が出来るような何かがあれば、
対策も出来るのだろうが、現時点ではそれを見いだせていないようだ。
 
 
大事な事は先人たちが教えてくれる。

・“出たとこ勝負” は敗者の戦い方
・“戦う為の武器” を選択せよ
・”引き下がる” 事も戦略の一つ

 
 
 
追伸:
三泊四日の旅程が終了した。面談9件。セミナー一本。今回も頑張らせて頂いた。
明日は長女と次女の入学式。長女がワタシに言うんだ。
「宿題教えて欲しいから、早く帰ってきて」と。
最近は入学前から宿題が出るらしい。
長女は明日から中学生・・・・・どんな宿題なんだろう???
教えられるかどうか、甚だ心配だわ(;´∀`)
さて・・・・そろそろ新潟に帰るね(^_^)v

 

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自己破産しちゃいけない!

債務整理しちゃいけない!

自殺はもっとしちゃいけない!!

 

 

 

 

Profile 執筆者紹介

自己破産させない屋たちばなはじめ

■略歴
平成21年に、父親から引継いだ6億円の債務で資金繰りに困窮し自己破産を検討。
しかし、自己破産にも資金が必要な事、弁護士から350万円掛かると言われ断念。

信頼を置いている知人の紹介により、知り合った金融コンサルの指導で借入金返済
債務にも時効がある事を知り、それをクライアントに話さない弁護士に嫌気が差し、
以後弁護士との接見を行わず、任意整理もせず、6億円の金融債務返済を毎月元利
返済180万円を約2ヶ月後、合法的に返済元利毎月5千円に圧縮することに成功する。

そして、資金繰りは爆発的に改善する。現在も社長業を継続し13年目を迎える。
返済額圧縮によってねん出した資金を合法的に流用し39歳で自宅の住宅ローンを
29年分一括返済する。

自らの経験談を各地で話し、既に1,000名以上の個別相談に乗り、
日々クライアントに適した手段で救済を行っている。



講演実績
▲大手外資系生命保険会社 ▲首都圏大手 会計事務所 勉強会 ▲大手国内生命保険ライフプランナーグループ
(定例開催実績12回) ▲東北地方学校法人運営数社 これら含め国内各地で合計600回以上(6年間で)開催。

講座ページ:http://shikin-kaizen.net

株式会社MEPたちばな総研 代表取締役
たちばなはじめ(ビジネスネーム)

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